主権国家から国民国家へ

 

 

主権国家によく似た言葉に国民国家があります。

これは確定した領土をもち国民を主権者とする国家体制です。

歴史的な流れで言えば、イタリア戦争で生まれた絶対王政の下で中央集権化が進んだ国家による三十年戦争の終結後、ウェストファリア条約が締結されます。それを契機に成立したウェストファリア体制によって主権国家体制が確立します。それらの国家が17世紀のイギリス市民革命、18世紀のフランス革命にみられるように、絶対王制に対する批判として君主に代わって国民が主権者の位置につくことにより形成された国家を指します。

国民国家のなかで、国民は主権者としてのさまざまな権利を有すると同時に、納税、兵役、教育の義務を担うことになります。また国民国家の形成過程において、国民は、国歌の斉唱や国旗への敬礼、言語の標準化等の統制を通して、国家の一員としての帰属意識を形成していきます。

現代において多くの先進国は国民国家です。